ヒロカズの読書日記

このブログは、読書したことから、考えたことを書いていくブログです

『ビリー・ワイルダーの「サンセット大通り」』(村上春樹著、「村上朝日堂」より)感想文

 勉強は嫌いだ、という人は多いと思う。僕は勉強に関する村上さんのこのエッセイがとても好きでよく読んでいる。僕も学生時代全く勉強しなかったのだが、でも何かしら毎日あったような気もする。でもそれを正面切って勉強とは呼びたくない。勉強に対しては誰でもそう言った二面的な感情を抱いているものだ。
 村上さんのこのエッセイはその辺りの学生の勉強に対する「勉強しなくちゃ始まらないけど、それを勉強とは呼びたくない」という基本的な姿勢がよく表現されている。
 勉強はしなきゃいけない、それはわかってるんだけど、何をどうしたらいいのかそんなに明らかじゃない。それに対して、村上さんは「とにかく遊べ」と僕たちを励ましてくれる。
 村上さんの場合は映画学科に所属していたため、「授業サボって朝から名画座で映画を見る」のが日課だったようだ。しかしここで村上さんの筆は冴え渡る。「授業をサボると言っても映画学科の学生が映画を見るんだから、これはれっきとした勉強である。」とはっきりこう言うのである。かっこいい。勉強せずに勉強する、という村上哲学のようなものを感じる素晴らしいエッセイだ。
 とはいえ、そんな村上さんも、「映画を見る金」には困らされたようで、そんなエピソードもこのエッセイにはサラッと書かれている。今の村上春樹を作った有名なエピソードなのだが、やはり、村上春樹は勉強家である。そのあたりの事情を知りたい人は是非このエッセイを読んでみてください。とても勉強になります。

 

村上朝日堂 (新潮文庫)

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