ヒロカズの読書日記

このブログは、読書したことから、考えたことを書いていくブログです

おじいさんと自分だけの生き方

 自分だけの生き方とは何だろう?
最近よくそんなことを考える。
 自分の人生がつまらない理由が最近なんとなくわかってきたのは、自分だけの人生、というものに思いめぐらせるようになったからだと思う。
 きっかけは色々ある。見栄やプライドといった余計なもので身動きが取れなくなっている自分に気づけたことが大きいだろうか。
「一つの視点からばかり物事を見ていると、フットワークが鈍くなる」というのは僕の大好きな村上春樹さんの言葉だが、こうした状態から僕を救い出してくれたのは、周囲の人々を見ていた時にふと思いついた一つの考えだった。
「僕がこのよぼよぼのおじいさんだったら、自分はどう生きるだろうか?」
 そんな風に思った時、すごく気分が軽くなったのを感じたのだ。
「そうか、おれはこのよぼよぼのおじいさんのように生きればいいのではないか?」と。
 どういうことか。それは色々なことを諦めるということだ。
 おじいさんのことは街の中の誰も注視していない。その自由さ。
「自分というものはいつも自分を見ている神様のような存在」というのは森博嗣の言葉だが、まさに、このおじいさんに残されているのは、自分、という存在だけなのではないか、と思ったのである。
 僕が街で見かける人々は、自分のことだけを考えて歩いているように僕には見える。
 それに対する憧れが自分の中にあることに気づいたのである。
 冒頭で述べた、自分だけの人生、というのは、「オンリーワンの人生」といった格好のいい意味ではなく、その文字通り、自分一人が生きている人生、という当たり前の事実を確認する意味合いがある。
「もっと自分一人だけが見ている光景というものを持ってもいいんじゃないか」
 ここにはそんな一人で生きていくしかないという諦めと、その上で自分にできることを探そうとする意志が垣間見える。
「自分というものはいつも自分を見ている神様のような存在」
 この言葉の頼もしさを感じた。