ヒロカズの読書日記

このブログは、読書したことから、考えたことを書いていくブログです

夜空の下で考えたこと

弁当屋に行った帰り道、夜の道を歩きながら色々なことを考えた。

いつもなら弁当を食いながら、ビールでも飲みたいな、と思うところ、最近は、酔って過ごす時間よりも、机に向かう時間を優先したい、と思っていること。

自分の将来のこと。誰か気の合う人を見つけて一緒に暮らしたいということについて。

二十代の頃、荒みきった生活の中で読書だけが僕の心の拠り所になってくれた。最近では古川日出男にはまり、図書館でいくつか彼の本を借りてきた。

彼の本は、登場人物たちが実際に街の中で「棲息している」という感じがして、楽しい。それこそ、何気なく弁当屋に弁当を買いに行く、みたいなシーンは、とても古川日出男的だ。

僕は古川日出男のそういうところが好きだ。すごく生活感があって、その生活感が力強く、生命力に満ちている。

僕が最近借りてきた、「LOVE」という彼の傑作には、そういった実際の生活の中で鍛えられた自分の技をここぞというときに繰り出してくれる登場人物たちが満載だ。吉村キシ、というスポーツインストラクターは「スポーツしろ。」が口癖で、公園に「スポーツ禁止」の張り紙を見つけ、腹を立てる。彼のスポーツへの思いはとても一途で、自分の受け持つジムの会員さんへの熱い思いを綴った以下の記述は僕の印象に強く残っている。

「スポーツはたいしたことだぞ。全然パンチやキックに縁のなさそうな勤め人の会員さんが、あの”自主練”のあいだは顔色変える。熾烈に蹴って、なんだか発散してる。人格、変えちゃう。あの熱心さ。あの熱意を目覚めさせること。おれは、本当にそれが、好きだ。」

こうした生活の中にある、「熱さ」についての記述が古川日出男の小説には多い。そして、登場人物たちは、皆、自分の住んでいる街、自分の生活をとても熱心に、熱烈に、愛している。

「ナニしてたって詩が書けそうになるよ」とは、これまた古川日出男の小説の登場人物、秋山徳人の言葉。

興味を持った方は、是非、古川日出男の「LOVE」を手に取ってみてください。日常の何気ないシーンが、古川日出男的に「熱く」感じられるようになるはずです。

 

LOVE (新潮文庫)

LOVE (新潮文庫)

 

 

 

(noteにて投稿 2020/03/09 21:35)