ヒロカズの読書日記

このブログは、読書したことから、考えたことを書いていくブログです

生きることとシンプルさ

 生活スタイルを一新した。

 理由は色々とあるが、「アンチ整理術」(森博嗣著)を読んだことが理由として大きいかもしれない。

 様々なことに疲れていた。自分の手に負えないことを抱え込みすぎていたように思う。

 本のいいところは自分では気づかないまま溜まっていった心の歪みに気づかせてくれるところだと思う。

「本の読める場所を求めて」(阿久津隆著)も同時に読んでいるが、この本も自分の生活について考え直す機縁として非常に有効だった。

 どちらの本についても共通するのは生きていく上での原則のようなものが非常にすっきりしているということだ。何を求めているのか、そのためにどうするのが一番最適なのか、そうしたことがすっきりと述べられているので、読んでいるこちら側の姿勢がすっと良くなってくるのだ。

「アンチ整理術」は整理というものはそもそも必要なのか?といったように、そもそもの起点に立ち返って進められる論が心地よい。一辺倒の常識ではなく、常識と思われている固定観念から自由になって、「個人の生き方」を立ち上げようとする議論から、気づかされることは多い。

「個人の生き方」とはつまり、やりたいことがはっきりしている生き方である。そして、その実現のために様々なことを徹底して考え抜くということが、すなわち人生である、という単純明快な哲学がそこにあるように僕には思え、それがたまらなく明快な考えに思えた。是非真似してみたい、と思った。

 シンプルさ、という点では村上春樹もそうだ。以前のnoteでも紹介し、僕自身、自分が生きる指針としてきた、「文章の書き方」にも、そのシンプルさが垣間見える。

 村上によれば、文章の書き方に悩むくらいなら、生きることに専念しなさい、その方がよっぽど簡単でしょ、ということだ。

 彼にとって、生きる、ということはシンプルで何より信頼するに足るものなのだ。

 今まで、僕はこのエッセイを読むたびに、村上の言う「生きる」と言うことがどういうことなのか、わからなかったし、その言葉に込められた「何か」に非常な憧れを感じたものだった。

 今、その理由がわかりつつある気がする。鍵は、シンプル、というこの概念だ。

 

アンチ整理術

アンチ整理術